猫と幸せ 私の場合
私はインターネットでニュース記事を読んでいて
猫の視線を感じ、振り向くと、猫が私をじっと見ている。
私は最近、猫と遊んでいないことを後ろめたく思っていたが、
だからといって、ただそれだけだった。
私が人差し指を出せば、鼻先を2回こすりつけることを今日の猫はしてくれない。
これが私を行動させた。
私はイスから立ち上がって、畳にコロコロをかける。
髪の毛や猫の毛や糸くずがコロコロにくっつく。
猫は動いている私が好きなので、カーテンの奥に身を隠して、私を見ている。
動く私とコロコロを見ている。カーテンが揺れている。
私は猫のことはほっておいて、コロコロを畳にかけていく。
ゴミを取って、寝るのだ。寝室は清潔に。猫は私を見続けている。
それから私は用済みになったコロコロの紙をグシャっと丸めて、猫の注意を引き付け、
えい!
と投げると、猫は
だだだだだだーと
一直線に駆けていく。駆けて行った先で猫は私を見上げる。
私は猫のもとに歩き、再び、今度は2つ目の丸めたコロコロの紙を
えい!
と投げる。紙のボールはあまり飛ばない。うっかり力を入れて投げると、肩が痛くなるので、私はほどほどの力で投げる。猫は先と同じように
だだだだだだーと
一直線に駆けていく。
こんなことを5回ほど繰り返しただろうか。私は最近、猫が駆けるところを見ていないから「これでいい運動になっただろうな」と自己満足に浸り、浸っていると忌野清志郎『完全復活祭』が耳に入ってくる。
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多魔蘭坂を登り切る 手前の坂の
途中の駅を借りて 住んでる
だけど どうも苦手さ こんな季節は
お月さまのぞいてる 君の口に似てる
猫はにゃあんと鳴いて、私を呼ぶ。呼ばれた私は
猫、猫、猫~
と猫を呼び返し、また紙のボールを投げて、猫は一直線にかけていく。
なーんか私は幸せだった。
それから私がパソコンに向かっていると、猫が二の腕めがけて爪を立て、噛みついてきた。私は頭に来て、猫をとっ捕まえて、いい機会なので、爪切りをしたら、
後ろ足の爪を切ったときに、肉球を切ってしまった。
ごめん、猫。許してほしい、わざとじゃない。ごめん。
私は猫に謝り、チュールでご機嫌を取った。
幸せだったのに、私はバツが悪い。その猫はカーテンの奥で体を休めている。