悲惨な引っ越し

新生活。期待に胸膨らませる新生活。

 

私の引っ越しは悲惨だった。私は大阪市にあるUR都市機構の3階に入居して、10年目になるが、引っ越しを決めた理由は半年前から精神系のおばさんが私の上の部屋に引っ越してきたからであった。

 

そのおばさんはあらゆる生活音に対して壁をぶったたくという性癖の持ち主で、

私は一度頭にきて、丁寧な文句を怒りを込めて伝えにいき、その時にインターフォンから流れれる声の主、すなわち部屋の主がおばさんだと初めてわかった。私の丁寧な怒りを表明した文句を機に、4階の他の住人たちがおばさんに怒鳴り込んできたのだった。しかし、それもある日パタリと止まる。

 

ある日、おばさんの壁ドンに文句を言った別のおばさんがいて、その時におばさんは「きええええええええー」という叫び声をあげ、その声は私のいる3階のフロアにも聞こえたのである。以来、誰もおばさん宅にモノをいう者はいなくなり、しかし、おばさんの生活音に対する壁ドンは続いていた。

 

私は禁止されている猫を飼っていたので、猫が机やキッチンから飛び降りる音、床を走り回る音、鳴き声高い場所から飛び降りる音が聞こえるたびに、少しずつおびえるようになってしまった(禁止されている動物を飼うなっていう突っ込みはここではいったん置いておいて・・・・・・)。時に猫が出す音に偶然が重なって、おばさんの壁ドンが聞こえ、もうこれは耐えられくなった。下の音が上に聞こえることなんてほとんどないはずなのに、なんでやと、こうなる。夕方5時になると、この団地では「ペットの飼育は禁止です」というアナウンスまで流れてくる。というわけで、ここから出ていきたい思いが日増しに募っていった(続く)。