ビアガーデン

京都新阪急ホテルのビアガーデンで友人の誕生日を祝う。エレベーターマンの案内で専用エレベーターに乗って屋上へ。ビアガーデン初デビュー。屋上には緑色の絨毯の上に白いプラスチックのイスとテーブルがぎっしり。人もいないのに、ここまで並べるとちょっと狭苦しい。いい感じに京都タワーが見える。このアングルでタワーを見れるとは思わなかった、と僕は2人に伝える。実はそんな大したことない。どうせならタワーに上りたい。

僕らが会場一番乗り。窓口で3500円のチケットを購入。ドリンクチケットとグラス交換。2人はビールを、僕はウーロン茶で乾杯。ビールでゴクリゴクリといきたかったが、最寄駅まで車を運転してきたから、もちろん飲まない。

2人に会うのは1年ぶり。Aは既婚者。僕と彼女の出会いは2002年で、9年目の付き合いになる。彼女は結婚で幸せ太りしたぐらいで、あまり変わっていない。彼女と酒を飲むのは楽しい。よく笑うし、かわいい。身持ちも堅いし、男と女の駆け引きみたいなものがないから、楽だし、安心できる。

Bは2000年から、付き合いは11年目。学生時代の彼女は元気で強気で成績も優秀、おしゃれだ。勤め人(社会人ってなんだ?社会で暮らしていれば、みんな社会人。正社員=社会人っていう認識は理解不能)になった今も、Bは元気で、やや控えめになり、優秀さは変わらないだろう。彼女は相変わらずおしゃれで、今日のファッションはマリンテイスト。彼女は最近、体が冷えるようになったとこぼす。僕らは、あと10年もしたら関節が、肩こりが、あの病院が、とかなんとかいってきっと盛り上がっているに違いないとゲラゲラと笑う。


Aがデジカメを取りだし、ビアガーデンの様子をパシャパシャ撮影する。え、そんなに撮影するの?僕は、周りに何かいわれないかと、気が気でない。僕もカメラで撮影するが、せいぜいタワーと京都駅ぐらい。一眼レフは目立つ。

日が暮れだすと、お客がゾロゾロと入る。サラリーマンの集団。OLたち、上司部下。昔からの友人。大学生。白い椅子が人でうめつくされる。狭苦しいまでのテーブルや椅子が敷き詰められていた理由に納得。大盛況な夏のビアガーデン。ビールマグを片手に人々の列。僕は彼ら/彼女らの間をぬって、自分たちの酒の肴を取り皿にのせていく。

僕は枝豆をつまみながら、ウーロン茶。友達の恋愛話も酒の肴。こんなことは今まで話したことがない。距離が離れた分、話しやすくなったのだろう。いい風が吹いて、Aの長い髪が流れる。

僕たちが異なる道に進むようになって、時間は経過した。見た目は少し変わった友人が、学生時代と同じ関係で、話を展開する。ささやかで、とても幸せだ。こういう時間が僕の人生だ。この時間を積み重ねながら、年を取るのだ。


日が暮れた京都タワーの姿。2時間が過ぎたらビアガーデンは時間切れ。僕らはそこをでる。2人と別れることの名残惜しさもそこそこに(この名残惜しさがあるから、また会いたくなる)、僕は京都タワーでBと別れ、京都駅でAと別れて、家路についた。