2015-01-01から1年間の記事一覧

俺の好きな女

好きな女の目の前でバシっとかっこよくふるまうことができればいいのだが、俺は好きな女の目の前で右往左往して、おろおろしてしまった。男として情けないなあと思いながら、俺はじくじくしていたのである。こんな恥かしいことはなくて、少しでも格好良く見…

物語は俺の仲間だ

物語が人を救う。なんてことを20代から30代前半にかけて聞いたことがあって、当時の俺は「物語が人を救うわけがないだろう。物語は物語であって、その世界で完結してて、俺の現実生活とは全く関係がないのに、何言ってるんだ」などと思いながら、ルポやら学…

今日、偉い人に会った

今日、偉い人に会った。その偉い人は行政の長である。俺はその人の仕事の中身を知らないが、その人が行政の長というだけで、その人は偉い。俺は前日からこの偉い人と会うのが憂鬱で、なぜなら俺はその人と比較して、何をとってもいいところがないという思い…

隣人は孤独死

ふかした豆が腐ったような、淡く、重い臭い。 毎朝、僕は自宅マンションの扉を開けて、フロアを歩き、その臭いを通り抜ける。 夜はその臭いを通り抜けて、自宅に戻る。 僕は帰宅時に郵便ポストを確認する。各部屋のポストは1階に集合している。 あるポスト…

当てにならない自分の心

黄金週間明け前の昨夜、僕はこんな風に苦み、ある人にメールをしたためた。 信じられないかもしれないけど、今、この瞬間、俺は明日の仕事に行きたくなくて、行きたくなくて、明日、事務所が崩壊していたらいいのに、事務所限定で大地震でも起こらないかな、…

美味しい食事

とある中華屋に行った。店内はカウンター席、奥にテーブル席が1席。細長くて、奥行きがあり、狭い。カウンターのテーブルの奥行は週刊誌ほどで、やはり狭い。俺はスポニチにざっと目を通して、フライ麺と餃子を注文した。紺色のTシャツを着た店の親父は50…

行きつけの中華屋

昨日、ただの中華屋が行きつけの中華屋になった。70代手前の夫婦が10席で満員になるこの店を経営している。僕は3年ほどそこに通い、いろんなことがあった。・焼き上がった美味しい餃子を食べ終えてから、皿の上に残る高温で焼かれた結構な大きさの虫の死…

金持ちの女と知りあってしまった

金持ちの女と知り会ってしまった。肉体関係はまだない。何で知り合ったかといえば、仕事を通じてだ。交差点の信号が青に変わり、横断歩道を渡ると、スプリングコートを着た美人がいたことだけは記憶している。彼女は既婚者で、僕よりも10歳年上の44歳だ。黒…

成り行き見せ合いオナニー

成り行きで、スカイプを用いたオナニーの見せ合いをやってしまった。まさに成り行きで、成り行きには葛藤がなく、成り行きになったのは、自分のことはどうでもいいと思っていたからだ。それ自体は別にどうってことはなく、パソコンの画面越しのお互いの下半…

今夜は静かな夜になればいいのに

近所が最近異常に騒がしい。 騒がしい原因はセミの鳴き声でもなく、バカ選挙カーでもなく、 近所のおばちゃんたちの雑談でもない。 近隣から集う「10代後半」の騒音である。 「10代後半」と書いたのは、本当に彼らが10代後半かわからず、 体格や声、騒ぐ時間…