当てにならない自分の心

黄金週間明け前の昨夜、僕はこんな風に苦み、ある人にメールをしたためた。

信じられないかもしれないけど、今、この瞬間、俺は明日の仕事に行きたくなくて、行きたくなくて、明日、事務所が崩壊していたらいいのに、事務所限定で大地震でも起こらないかな、社長死なないかなあと思いながら、さっき風呂からあがったんだけど、こんなことを聞いてくれるのは誰もいないので、間山さんってやっぱり頭がおかしいんじゃないの?と思ってもいただいていいんだけど、どこにも弱音を吐きだせなくて。

俺の親友は2人いて、2人とも結婚していて、一方は妊娠して、早産の可能性があって、だから入院中で、彼女が俺の愚痴を聞いたことによって、彼女の体調が悪化したら困るし、他方は半年前に東京で挙式して、そいつは「過去も未来もない、あるのは今だけ」って説教を自信なさげに垂れていたインテリ坊主で、確かにその通りなんだけど、俺がそいつに聞きたいのは「今は貯金してる?」ってことなだけど、すっかり音沙汰なしで、つまり親友が遠くなってるってこと。

かといって60歳を超えた親にいって、心配をかけるわけにもいかず、じゃあ、同僚にいえばいいっていう話なんだけど、うちは特殊な業界で、それも関係があるのか、あると思うんだけど、俺も含めて、みんな口が軽いので、その類のことがうわさになりやすく、かくして誰にも言えない(実際に誰にもいえないのです)ので、こうして筆をとりました。

この類の弱音は俺の心のクセなんだけど、クセだからやり過ごせばいいんだけど、やり過ごせなくて、どうしようもなくて、実際に仕事をすれば、こうしたクセが表に出てくるわけではなく、消えてしまって、淡々と仕事をこなしているし、昨夜の俺は一体なんだったんだろう?という疑問まで出てくるんだけど、毎回毎回。

こんなことを聞いてくれるのは○○さんぐらいしかいなくて。
ごめん。

このように僕は昨夜、久しぶりに苦しんでいたのだが、今日は髪形を変えて、街を歩いて、若い女性とすれ違ったときに「男前」と若い女性がいった言葉が耳に入り、それとは別に、僕が地下鉄で下車して、好みの若い女性を追い抜いたときに、その子が「あの人、男前やな」といった言葉が耳に入り、たまにある勘違いで、勘違いでもいいので、とにかく心が浮足立っているわけで、そんな風に女性から思われてるんだったら、明日にでも好きな人に告白しようかなんてことを考えながら、明日にでも腕組みデートなんかをしたりして、初めての夜は「大好きだから今日は抱かない」とか何とかいいつつ、「でも手は繋ぎたい」とかいって手を握ったまま、眠りに落ちて、半年後に結婚して「あなたのことが死ぬほど大好きです」っていわれることを夢想しながら、家に着き、今はビールを飲みながら、これを書いている。

つまり今日の僕は全く苦しくなくて、思うことは自分の心だけは本当に当てにならないことで、それだけは確信したので、僕は家を買ったり、結婚したり、家族を持っている世の中の人たちをすごいと思うのであった。