日常

ライン嫌いが嗤われる

「ラインしてないんですか!? 今時ラインもしてないなんて、僕の知る限り 聞いたことがありません。おいくつですか? ラインは早いし、既読機能もあって便利ですよ!」とこの若い専務役員は嗤い、 私の上司はそれに言葉尻を合して、 「そうですよね。この人…

私は猫を迎え入れる

今週の水曜日に猫を迎え入れる。 丸顔のスコティッシュフォールドである。 私はこいつを迎え入れるにあたり、ベッドから食事皿まで 評判のよいものを一通りそろえた。 私はフローリング保護のためにどれがよいかさんざん迷い、 結局クッションフロアを注文し…

休日はグズグズするのが私

私は帰省して、山に登ります。 帰省は3日間で、だから荷物は少なく。 結論はアウトドアの格好ですが、帰省するためだけにこの格好は恥ずかしくて、 家を出るまで、グズグズしていました。 私は、私自身が他人の視線にさらされていると考えてしまう人で、 そ…

夢のような時間

地下鉄。扉が開くと、 俺とその女性はほぼ同時に座った、対面に。 女性は、髪が長くて、色白で、年は20代だろう。 女性はデニム地の黒のミニスカートをはいていて、 白い下着が▽の形で露骨に見える。 ▽の左右に白い太ももがついていて、 なんともたまらず…

針灸

仕事が終わり。 疲労が膜になって、私の体を ドロドロと覆っていたので、私は針灸に行った。 先生が「今日はどうされましたか?」 と質問して、 私はこの質問を心の底から欲していたので、 「先生、今日は疲れてしまいました」 と素直に答えて、先生は少し驚…

兄の苦笑い、弟の癇癪

地下鉄。 アジア系の家族が乗車してきた。 その中に兄弟がいて、兄は10歳、弟は4歳ぐらいだろうか。 兄は私の隣に座り、弟は兄の前で膝をついて、兄と向かい合う。 弟はよく日に焼けていて、笑うと、白い歯が目立つ。 二人は両手の人差し指から始まるゲー…

ポニーテイルの娘

エレベーターが3階で開いた時、 母親と小さな娘が乗り込んできた。 色白の娘は天然パーマのポニーテイルだ。 年は3歳から5歳だろう。娘は私を見た途端、母親の背中に回り込み、 私から隠れた。隠れたのだが、娘はひょいと頭を出して、 私を確認し、また隠…

バイキングと私

予想もしなかったが、 私は今日、上司とバイキングに乗る羽目になった。 彼女はK遊園地を目の前に、バイキングを見て、目を輝かし、 まさに子供のように「私アレに乗ってみたい」といい、 私は笑った。 上司は「怖いの?」と私に尋ねたが、私は心外だった。…

車掌の微笑

帰宅時の電車。 車掌が俺の座席、左隅に乗車してきた。 車掌は背筋を伸ばし、毅然と立つ。 車掌のはっきりした化粧と制服がよく合っている。 俺は読みかけの本を読み始める。「ひゃく」 「ひゅーく」 なんだろう、この音は。 音の方向にはおばさん、おじいさ…

日がな一日

雨上がり。小さな公園を歩く。 乾きつつある湿った極小の砂利土、その下に堆積しているであろう粘土質の土。 足を踏み出すと、地面の硬すぎず、柔らかすぎない「じゃむむ」という感触。 靴と靴下が間にあって、踏むという気持ちよさ。 私はこれが好きだ。 便…

大根に似た足

私はエスカレーターを駆け上がり、 目の前に白のストッキングを身にまとった足が見えて、 この足は大根に実によく似ていた。 私は「これ煮込んだら美味しいだろうなあ。 左は大根、右は豚足の煮込み……」と 自分の思い付きにびっくりして、 それからしばらく…

500円玉

仕事帰り。 ドトールをざっと見渡すと、満員。 丁寧に見ると、空いてる座席が1か所ある。 私はそこに荷物を置き、アメリカンとどら焼きを注文して、戻ると、 私の座席の下、やや右斜め。 あらあ。これはお助けせねば。 暗い足元 光る白。 傘の柄で おさえつ…

起床して、歯を磨き、着替えて、職場へ出かけた。 朝の街を歩き、朝陽を浴びる。気持ちがよい。 すれ違う人たちに病名を付け、 これが絶妙にその人へマッチして、笑える。 朝からまことに気分がいい。 コンビニで味噌汁とおにぎりを買って、 店から出ようと…

ばい〜〜〜ん

階段を上るとき、 人ごみだと思える平坦な道を歩くとき、 ある男は瞬間的に加速する。1歩、2歩の瞬間的な早足。 それは後ろから歩いている人や 並んで歩いている人にはわからぬものであり、 特に子どもなぞには決してわかるまい。あれ? いつの間にか距離…

市松模様の箸がない

毛抜はこの部屋で3回なくした。 小さなものだから、特に気に留めなかった。 どういうわけかわからないが、箸がないことにさきほど気がついた。 2回目である。半年前に無印良品の箸をなくした。 それから市松模様の箸を使うようになった。 広くない部屋なの…

星空が好きだ

夜の楽しみは星空だ。 変化が求められ、変革が叫ばれ、 人の行動は10年前とは明らかに異なり、 友だちに子どもができて、僕も少しずつ年を取っていく。でも、夜の星空は変わらない。未来永劫といってしまえば、 大げさだが、少なくとも僕が生きている間は…

個性がないコーヒーが好きだ

スタバやコンビニの類のコーヒーは 苦味や酸味、コクの全てが強くて、 なんというか、ここらへんのコーヒーは戦っているのである。こういうコーヒーを読書の援軍として、 頭を集中に向かわせるための刺激物として なんとなく飲んでしまい、 やっぱりあんまり…

起床して、神社に参拝。

それから、サンドイッチを買いにパン屋さんに出かけた。 親子連れが目の前にいて、僕は歩道から車道へ出て、 すれ違った。親子連れは父と2人の男の子どもだった。 狭い歩道、人とすれ違うことが面倒だ。 子どもたちの声がうるさい。 どうして冬の男の子ども…

歯……

金属の詰め物が取れかけたので、歯医者に行った。 セラミックの歯に興味が出て、 口から金属を取り出したかった。いくつかの歯科のHPを見ると、 セレック(CEREC=CEramic REConstruction=セラミック修復)があり、 金額は大体3万から5万円だった。治療…

サングラスを地下鉄で

1年ぐらい前からだろうか。 地下鉄がまぶしい。 地下鉄の電車が駅に留まり、扉が開いたとき、 俺はたいてい逆側の扉側にいて、そのドア越しに「○○駅」の 電光掲示板がぴったり目に飛び込む。 その明かりがえらくまぶしく、車内の光もまぶしい。 まぶしいか…

幸せは鼻の穴から

頭に来ることがあって、 俺はそれを口に出せない代わりに、 態度に出てしまい、態度は相手に伝わる。 原因はお前だと 罵ることができない上下関係の下で 俺は滅入っていて、気分を変えたいと願いながら、 映画を自宅で見るか、 本当にまったく違う場所に身を…

雨の日は魔法

今日は朝から雨が降り、 俺はかさを持っておらず、 そもそも大した雨でもなかったので、 距離にして1.2キロ、そのまま駅まで歩いた。 雨脚は変わらない。 水たまりができたアスファルトの上に雨がたったったったったと落ち、 きれいな小さな円がいくつも描き…

空飛ぶたこ焼き

空飛ぶたこ焼きを見たから興奮している。 空飛ぶたこ焼きは、 たこ焼き屋のちいちゃんが焼きあがったたこ焼きに 串を入れて、ひょいとひょいと舟に入れるあの瞬間のことで、 その時、たこ焼きは確かに空を飛んでいた。 ふわ、すとん、ふわ、すとん、 ふわふ…

秘密の場所

某駅の地下鉄に秘密があることを知ったのは、 昨日のことで、 それは、俺が朝の通勤ラッシュで某駅で降り、 ふいに目に入った四角のマンホールを見たときだ。 俺は、「あ!」と声をあげそうになった。 まさにそれは死角だった。 マンホールは地上を前提して…

白髪頭のばあさんとコーヒー

俺は今日、仕事帰りのドトールで、 ハニーカフェオレを注文したあとに、 「我ながらなんてかわいいものを注文するのだろう」と 小さな俺が俺に恥ずかしそうに伝えて、 「それは本当にそうだよな、 あれちょっとというか、過剰に舌に残る甘さなんだよな」と …

赤ん坊の鳴き声

ひどく憂鬱な昨日があって、 今日もひどく憂鬱な時が襲ってきたので、 「今やばいな俺、狂いそう」と俺は何度も思いながら、 カメラのシャッターを切り、仕事に従事していた。 俺の様子に周りは気がついていて、 「疲れてるの?」「眠いの?」と何回か質問し…

風邪のあと

昨日、風邪をひいた。 春の陽気だとうっかり油断してしまい、寒気。 コンビニで買った一番高いユンケルを飲み、 夜にホルモン、ニラ、ニンニク、ショウガ、ネギ、キャベツ、豆腐を入れて、 もつ鍋を作り、汗だくで食す。 早めに就寝。 寝汗がひどくて、3回…

台風の日

台風である。 午前10時42分。 俺は免許証の受け取りのために、交通安全協会から呼び出しをタイミングよく食らった。 「はいはい、今から行きます」と適当に答えた俺は、しかし行動はまっとうで、約束を守り、 台風のなか交通安全協会まで歩くのである。 …

「母」の日

今日は「母」の日だ。 母は64歳の誕生日を迎えた。僕が母と話していると、お互いの年齢の話になった。 それから電話を切って、よみがえった記憶は子どものころの僕だ。母は受話器を片手に祖母と話していた。 当時の母は今の僕と年齢がそう変わらなかったと…

本を捨てた

本を6冊捨てた。 積読の本で、この先も読みそうになかった。 俺にとって本は大事なものだから、本を捨てるのは難しかったが、本を捨てた。 本を捨てたわけは別にどうでもいいが、本を捨てたの自分の気持ちや情景を忘れたくないので、つづる。俺が本たちをゴ…