針灸

仕事が終わり。
疲労が膜になって、私の体を
ドロドロと覆っていたので、私は針灸に行った。


先生が「今日はどうされましたか?」
と質問して、
私はこの質問を心の底から欲していたので、
「先生、今日は疲れてしまいました」
と素直に答えて、先生は少し驚いた。

私はドライアイやイライラ持ちでそもそも
針灸に通っているので、
いつもと違う私の率直な物言いに、先生は驚いたのだろう。


私が仰向けになって、治療を受けている時、
今回の疲労はちょっとやそっとじゃ抜けないだろうなと思う。
なんでこんなに疲れているのだろうか。
今日の何時から疲れてきたのか。
誰が私の力を奪ったのだろうかと私は針を打たれながら、
目を閉じて、考える。


途中、先生は私の足を優しく指圧よりも弱く当たるので、
針灸なんだから、今日はドカンと針を打ってほしいなあ
だって、今日の疲れはきついんだから。
そういえば、先生は気功の勉強もしているんだったなどと思い、
もしかしたら今、気功してんのかなとも思う。
私を覆っていた疲労の膜は太陽の光を嫌って、葉の裏に移動する
虫のように体の裏側にもぞもぞ移動していて、
それはベッドにまで移っているような気がしてくる。


私はうつ伏せになる。
うつ伏せになると後半戦である。
先生は頭やら腰やら足やらに針を打っていく。
先生は「あ、痛かったですか」と聞き、
痛いときは「はい」と答える私は夢の世界に半分行っている。
手首や腕に針を打ち終わり、針灸が終わる。
40分。


「どうですか?」と先生。
「眠いです」と返す私。


私は治療院を出て、家に向かう。
最寄りの駅の地下道の階段を駆け上がって、地上に出たとき、
疲れは背骨から全部抜けた感覚になって、
1時間前の疲れが消えたので、私はびっくりした。
報告しよう。
次回、先生に会う時が楽しみである。