サングラスを地下鉄で

1年ぐらい前からだろうか。
地下鉄がまぶしい。


地下鉄の電車が駅に留まり、扉が開いたとき、
俺はたいてい逆側の扉側にいて、そのドア越しに「○○駅」の
電光掲示板がぴったり目に飛び込む。
その明かりがえらくまぶしく、車内の光もまぶしい。
まぶしいからサングラスを、と思うが、躊躇する。

理由は、

地下鉄でサングラスかけるなんて、格好つけてる男だ。
地下鉄でサングラスかけるなんて、怪しい男だ。
地下鉄がまぶしいと考える人いないだろうからだ。
地下鉄でサングラスは肩身が異常に狭い。

この認識を揺さぶってみる必要があると考えた俺は
ささやかながら、地下鉄でサングラスをかけてみる。
「サングラスを地下鉄で」という流れを作る無謀なる男として。
ああ恥ずかしい、こんなセリフ。
社会に挑んでみよう。だって、まぶしいから。

地下鉄は裸眼派。
自分の感覚に忠実になった地下鉄サングラス派が出てきますように。