歯……

金属の詰め物が取れかけたので、歯医者に行った。
セラミックの歯に興味が出て、
口から金属を取り出したかった。

いくつかの歯科のHPを見ると、
セレック(CEREC=CEramic REConstruction=セラミック修復)があり、
金額は大体3万から5万円だった。治療は1時間で終わるという。
値段は高いが、早く終わるし、面白いので、
これをやるつもりで、歯科に行く。
ワクワクする。

詰め物が取れかけた理由は虫歯だった。
金属の詰め物をかぶせると、
5年で50%が取れるという。

俺は「セレックをしたい」と伝えると、
歯科医は「金属アレルギーですか?」
と聞くので、もし俺が金属アレルギーなら、
歯の詰め物を施されて数年……
今のところ問題もなく、だから金属アレルギーではないと思うが、
実際はわからないので、

「わかりません」と答えた。
歯科医は「金属アレルギーじゃないですか?」とまた問うたので、
俺は「わかりません」と答えた。

歯科医は「セレックは奥歯2本以外なら保険適用なんですよ」といい、
俺はそんなことどこのHPも書いてなかったぞと思う。
歯科医は「国は歯の詰め物を脱金属に進めていくようです。
これもおかしな話なんですけどね、
もし金属アレルギーでしたら、奥歯2本も保険適用になります。
保険適用になれば、1本3万円が1万円」。

俺は声をあげてゲラゲラ笑った、面白かったからだ。
歯科医もつられて笑った。俺たちの声は院内に割と響いて、
きれいな歯科助手も笑っていた。

「紹介状をお書きしますので、
提携してる別の病院に行っていただいて、
そこで証明書をもらってきてください」
と歯科医はいって、俺はうなづき、この日は虫歯の治療をせず、
この部分を掃除して、また同じ詰め物を施された。

別の日に俺はその医院に行き、紹介所を渡すと、
医者は「金属アレルギーですか?」と問うたので、
俺は「わからないです」とやっぱり答えた。

医者は少し困った顔をして、
「金属アレルギーでしたら、歯科の保険適用になるんですが……、
ちゃんとした金属アレルギーのテストをしようと思ったら、
金属のパッチを背中に貼り付けて、しばらく様子を見ます。
歯科の場合の金属アレルギーはこっちではよくわからないのです、
ごにょごにょ」。

医者はいい終えると、パソコンに向かい、何かを打ち込もうとして、
「もしかして、指輪とかネックレスで皮膚が荒れたことは?」
と問うた。

俺は「え……、はい、そうですね、あります」と戸惑いを消し、
医者は「わかりました。
証明書をお作りしますので、これを歯医者さんへ渡してください」
といって、問診終了。

後日、その証明書を歯科医に渡した。
歯科医は俺の虫歯の治療をして、歯の型を取り、仮の詰め物を入れ、
俺の歯の色に近いセレックをサンプルから選びだし、
なぜか前歯の写真を撮り、
「1週間後にまたお越しください」といった。

以前の俺のその歯は詰め物との組み合わせ。
噛む側の歯は詰め物で、側面の歯は歯のままだった。
今回の虫歯で、側面の舌触りのいいツルツルした歯は
歯科医によって丸ごと削られ、吸い取られ、ゴミになった。

俺は治療後に「今日は何をしたのですか?」と問うと、
歯科医はドキリとした顔を見せ、
「歯を削らさせてもらって、虫歯を治療して、詰め物をしました」
と答え、俺はそれを先にいえと思った。

来週にセレックを奥歯へ詰める。