なぜかカメラマンとして

僕はライターだが、今回は9月にオープンする美容室のカメラマンになった。撮影の参加者はモデル、美容師、メイク、カメラマン、それから僕。僕らは11時に現地入りし、撮影は17時過ぎに終わった。僕はシャッターを約2000回おした。

モデルの撮影は初めての経験だった。ただ、僕はこれまで何万回もシャッターを切ってきたから、ある程度の自信があった。

撮影中のモデルの表情は硬いので不細工に見えた(それでも十分にキレイなのだが)。僕はモデルに笑ってほしかったから、「キレイです」を素直に連発し、「かわいい」をやや控えめにいい、「ハーフですか?」とモデルを持ち上げた。

モデルは「あげますねー」、「日本人です。時々ハーフっていわれます」と笑う。

その笑顔をたくさん見たい。愛おしい女の笑顔。かわいい目じり。長いまつ毛。大きな瞳。ファインダー越しに見えるの女。ファインダー越しじゃないと、見ることができない女。僕はシャッターを切って、切って、切りまくる。僕は「あなたのオタクになった気分がする」とポツリという。また女が笑う。髪が揺れ、目が優しくなって、ほほの筋肉が上下し、口が開き、歯と下が見える。僕はここからのぞく女の顔に魅せられる。もっとよく撮りたい、あなたのいろんな表情をもっと僕に見せて。

メイクと美容師が休憩時に吸ったタバコこのにおい、美容師の香水、6年ぶりに食べたお昼のフィレオフィッシュとポテトの油コンビに僕はやられて、今もなお気分が悪い。

ああ、疲れた。