猫と抜糸

我が家の猫が避妊手術を受けて、10日目。
今日は動物病院で、抜糸を受けた。


抜糸の糸は金属だ。
私が猫を万歳させて、
獣医が糸にはさみを入れて、
切って、抜いていく。

突然、猫が暴れ出し、
はさみの鋭い先端が猫の腹に刺さったら
どうしようかと私は気が気じゃない。


獣医の指先見ると、
糸はジグザグに3回、
縫われていたようで、
だから獣医はジグザグの
ジグとザグにはさみを入れて、
糸を切り、抜く。


1本目、2本目……
3本目にして猫は怒る。


不ーーーー!


まあまあ、ネコさん。
そんなに怒らないで、
もうすぐ終わるから。


と獣医は猫をなだめ、
抜糸は2分とかからず、終わる。


それから爪切り。
私は同じ姿勢で猫を万歳させ、
獣医は後ろ足の爪を手際よく切っていく。
前足に移ると、猫が


不ーーー!
不ーーー!
不ーーー!


と怒るので、獣医は助手を呼び、
助手は、猫の視線が爪の方向に向かないように
頭を撫でて、注意をそらすが、もちろん
そんなことで我が家の猫の怒りは収まらない。


不ーーー!


はい、終わったよ。
最後に抗生物質の注射を打とうね。


注射は1秒もかからなかった。
猫は鳴く暇もない。


私は猫を犬猫用のリュックに入れて、



「よく頑張ったね、あんた偉いよ。
家に帰ろうね」
とぶつぶつ声をかけながら、病院を後にした。


私は唐揚げ専門店で唐揚げ弁当を買って、
猫は帰り際ににゃーんと細く鳴いて、
客のおばさんが怪訝な顔をしていた。