『ファッション・ライフのはじめ方』

『ファッション・ライフのはじめ方』という本をご紹介。著者は高村是州さん。高村さんの専門はファッションデザインで、肩書きは文化女子大学服飾学部の准教授です。以下、面白かった3点。

「信頼の深さ」と「ファッション意識の高さ」は反比例します。おたがいに安心があるほどファッションはリラックスしたものになり、気が張っているほどにおしゃれになります。服は、その人の社会の中での立場を伝えるだけではなく、他人との関係の深さを映し出すものであもあるんです(p35−36)。

どんなにおしゃれな人でも、最初からズバリ似合う服を着ていたわけではありません。試行錯誤をくり返して「似合う服」を見つけていったんです。これは逆にいうと、さんざん着てみて「似合わない服」を見つけていった、ということです(p140)。

ほんの50年前…1950年代までは、ついているボタンは全部掛ける、シャツはパンツの中にいれるとか、きちんと着ることが当たり前でした。そもそも「着くずす」という考え方自体なかったんです。それが変りはじめたのは1970年代からです。ボタンはあるけど掛けない、帽子を斜めに被ってみる、シャツをパンツから出して着る、……。与えられた服を、自分なりに着くずして楽しむ、という感覚が若者を中心にして広がっていきました。これは、既成社会に反発する若者のメッセージとして生まれたものです。「スタイリング」という言葉がうまれたのも、このときです。そして、この考え方や言葉が生まれると、「スタイリスト」という職業も生まれました(p155−156)。

ファッション・ライフのはじめ方 (岩波ジュニア新書)

ファッション・ライフのはじめ方 (岩波ジュニア新書)