本の紹介

『糸とはさみと大阪と』

『糸とはさみと大阪と』という本をご紹介。著者は小篠綾子さん(1913-2006)。小篠さんは日本のファッションデザイナーの草分けであり、世界で活躍しているコシノヒロコ、ジュンコ、ミチコさんの母親でした。本書はその小篠さんの自伝です。以下、面白いと思っ…

『男のお洒落99』

ご紹介する本は『男のお洒落99』。著者は出石尚三さん。ファッションの評論家です。以下、面白いと思った3点。 良質のシャツほど長く着られます。 簡単に見分けられる良いシャツとは何か。 まず、ボタンを見よ。良いシャツには良いボタンが付いている。プラ…

『福島原発メルトダウン』

『福島原発メルトダウン』という本をご紹介。著者は作家の広瀬隆さん。本書は福島原発の事故の解説から始まり、地震の多い日本で原発を建設・運営することの危なさを説き、原発がなくとも電力を供給できることを主張します。以下、面白いと思った3点。 実は…

『福島原発の闇』

『福島原発の闇』という本をご紹介。著者は記録作家の堀江邦夫さん、漫画家の水木しげるさんです。本書は、堀江さんが原発労働者として働いたルポ「パイプの森の放浪者」(「アサヒグラフ」1979年10月26日号、11月2日号)とそれを元にした水木さんの漫画をレイ…

『オールド・ノリタケと日本の美』

『オールド・ノリタケと日本の美』という写真集をご紹介。編者は近代陶磁器研究会会員の大賀弓子さん。以下、面白いと思った3点。 明治26(1893)年の、シカゴの万国博覧会を見学してアメリカの消費動向を探ってから帰国した(注、大倉)孫兵衛は、同地で買…

『原発社会からの離脱』

『原発社会からの離脱』という本をご紹介。著者は首都大学東京教授で社会学者の宮台真司さん、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さん。本書は3.11以後のエネルギー政策と政治をめぐる対談です。以下、面白いと思った3点。 飯田:世界では原子力の建設…

「茶碗と花の苦しみと楽しみ」『芸術新潮 2008年3月号』pp100-102

「茶碗と花の苦しみと楽しみ」『芸術新潮 2008年3月号』pp100−102をご紹介。このページは陶芸家の第15代樂吉左衞門さんと華道家の川瀬敏郎さんの対談です。以下、面白いと思った3点。 川瀬:茶碗を作るとき、誰かに使ってほしいと思ってる? 樂:それはそう…

『原発のウソ』

『原発のウソ』という本をご紹介。著者は小出裕章(京都大学原子炉実験所の助教)さん。小出さんは原子力にはメリットよりもデメリットが大きいことを本書で説きます。以下、面白いと思った5点。 4月19日、文部科学省は福島県内の学校の「安全基準」を提示し…

『朽ちていった命』

『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録―』という本をご紹介。著者はNHK「東海村臨界事故」取材班。本書は1999年9月に茨城県東海村で起きた原子力事故で被曝した大内さん(作業員)の治療をめぐる東京大学医学部付属病院の医療従事者たちの記録です。以下、…

鈴木遥 『ミドリさんとカラクリ屋敷』

知人のノンフィクションライター鈴木遥さんからメールをいただく。鈴木さんはいつも元気で、会うたびに僕を驚かせてくれる。彼女の行動力は群を抜くし、なぜか大体笑ってる。 その彼女が『ミドリさんとカラクリ屋敷』という本を出版する。 あまりにもめでた…

『オールド・ノリタケ名品集』

『オールド・ノリタケ名品集』という写真集をご紹介。編者は大林紀子さん、大賀弓子さん。二人はINCC(インターナショナル・ニッポン・コレクターズ・クラブ)の会員です。オールドノリタケとは明治時代末期から戦前にかけて、日本陶器(現、ノリタケカンパニー…

『日本やきもの史』

『日本やきもの史』という本をご紹介。監修は矢部良明さん、肩書きは郡山市立山美術館長です。本書は8名の執筆者による縄文時代から現在までの「日本」の陶磁器の概説史です。以下、面白いと思った3点。 明治前期における窯業生産の特色の一つは、東京や横浜…

『21世紀は工芸がおもしろい』

『21世紀は工芸がおもしろい』という本をご紹介。編集者は福本繁樹さん。福本さんは染色家であり、大阪芸術大学教授です。本書は染色、陶芸、金工、デザイン、美術、染織、ファイバーワークなど工芸周辺の専門家たちによる座談会=議論です。以下、面白いと思…

「加藤唐九郎 伝統との格闘」『炎芸術.No65』pp54-55

「加藤唐九郎 伝統との格闘」『炎芸術.No65』pp54-55をご紹介。著者は竹内順一さん、肩書きは東京藝術大学大学美術館教授です。この短い論考は加藤唐九郎という陶芸家を通じて、陶芸や陶芸家という言葉を考えるにあたり、重要なことを指摘します。つまり、 …

『「かわいい」の帝国』

『「かわいい」の帝国』という本をご紹介。著者は古賀令子さん。古賀さんは文化女子大学教授で、近現代のファッション史家です。本書は戦前から現代にかけて日本ファッションに展開する「かわいい」イメージを巡る概説史です。以下、面白いと思った3点。 (19…

『ふだん着のデザイナー』

『ふだん着のデザイナー』という本をご紹介。著者は桑沢洋子さん。服飾デザイナーです。本書は明治に生まれ、戦後に生きた桑沢さんの自伝です。以下、面白いと思った3点。 (昭和19年当時)また、洋裁学校、とくに派手な洋裁学校やおしゃれ雑誌は弾圧されると…

『たかが服、されど服』

『たかが服、されど服』という本をご紹介。著者は哲学者の鷲田清一さん、大阪大学学長です。本書は服飾デザイナーのヨウジヤマモトのショーを差し込んだカラー写真を交えて、ヨウジヤマモトを論じたエッセイです。以下、面白いと思った3点。 欲望のたえざる…

『モードの社会学(下)』

『モードの社会学(下)』という本をご紹介。著者は土屋淳二さん、早稲田大学文学学術院教授です。専門は集合行動論、文化変動論です。以下、面白いと思った3点。 服飾のモードは着用者の社会的地位や役割を表示する働きをもつ。このことは、ある特定の地位や…

『モードの社会学(上)』

『モードの社会学(上)』という本をご紹介します。著者は土屋淳二さん、早稲田大学文学学術院教授です。専門は集合行動論、文化変動論です。以下、面白いと思った3点。 "機能"は目的との関係性においてしか存在しえない。このような"機能"と目的との結びつき…

『グッドバイ バタフライ』

『グッドバイ バタフライ』という本をご紹介。著者は森英恵さん、ファッションデザイナーです。本書は森英恵さんの自伝です。以下、僕が面白かった3点。 私が色に疲れ始めた1972年頃は、泥沼化したベトナム戦争の末期だった。ニューヨークの街にサイケデリッ…

『モードとエロスと資本』

『モードとエロスと資本』という本をご紹介。著者は明治大学特任教授の中野香織さん。専門は服飾史です。本書は服飾史家が見たゼロ年代以降の欧米、日本のファッション史の概説です。以下、面白かった3点。 ファッショニスタに根強い思い込み、「ワードロー…

テープ起こしのコツ

テープ起こしの仕事をクライアンから頂く。 録音時間は大体60分。 音質はほとんど雑音なし。 それを起こす。 僕は数百人のインタビューをテープ起こしした。 5分のテープ起こしに要する時間はブラインドタッチを用いても、20分から25分かかる(確認も含む)。…

『てつがくを着て、まちを歩こう ファッション考現学』

本書は哲学者で大阪大学学長の鷲田清一さんによるファッションの考現学、エッセイ集です。以下、面白かった3点。 衣服はけっして外見などではなく、ひとがじぶん自身をイメージするときのそのしかたを映すものであるから、その良し悪しをいわれるのは、その…

『Lucie Rie ルーシー・リーの陶磁器たち』

本書はルーシー・リー作品集であり、9名の執筆者がルーシー・リーの様々な側面を伝えたエッセイ集でもあります。とりわけ彼女の弟子たちが伝える彼女の側面が面白い。以下、面白かった3点。 ウィーンの応用美術界において、女性であることの代償は極めて大き…

『石津謙介 いつもゼロからの出発だった』

日本のアイビールックを、TPO(time/place/occation)を生んだVANの創始者、ファッションデザイナーの石津謙介さん。今日は彼が執筆した『石津謙介 いつもゼロからの出発だった』をご紹介。本書は石津さんによる石津さんの自伝です。以下、面白かった3点。 商…

「『工芸』概念の成り立ち」『境界の美術史』

僕らは陶磁器を工芸に位置づけていますが、そもそも工芸とは何ぞや、という疑問にすぐさま答えられる人は多分、それほどいません。それに答えてくれる論考が『境界の美術史』という本に収録されれている「『工芸』概念の成り立ち」です。著者は北澤憲昭さん…

『STREET FASHION 1945-1995』

本書は1945年から1995年にかけての日本の若者ファッション史です。以下、面白いと思った3点。 モード雑誌と違って映画には、「どんなスタイルを」だけでなく「どんな人間が」「どんな状況で」「どんなふうに着るか」のメッセージを伝達する機能がある。それ…

『なぜ人は服を着るのか』

本書は人が服を着る理由に対する鷲田さんの論考を集めたものです。著者は大阪大学総長の鷲田清一さん。哲学者です。以下、面白いと思った3点。 他人と外見がほとんど同じであることは、市民のひとりとしての個人の存在を構成しますが、しかし外見がまったく…

『さすらいの女王』

『さすらいの女王』という本をご紹介。著者は中村うさぎさん、作家・エッセイストです。本書は中村さんのエッセイで、タイトルから類推してもファッションの匂いはほとんどありませんが、読みすすめていくとファッションに関係する部分があります。中村さん…

『おしゃれの手抜き』

本書の目的は、大草さんがファッション業界で15年間働いて、身につけたファッションの基本を紹介すること。著者は大草直子さん、肩書きはファッションスタイリストです。以下、面白いと思った3点。 (ジーンズのバックポケット)刺繍やラインストーンなど、一…