「加藤唐九郎 伝統との格闘」『炎芸術.No65』pp54-55

加藤唐九郎 伝統との格闘」『炎芸術.No65』pp54-55をご紹介。著者は竹内順一さん、肩書きは東京藝術大学大学美術館教授です。この短い論考は加藤唐九郎という陶芸家を通じて、陶芸や陶芸家という言葉を考えるにあたり、重要なことを指摘します。つまり、

唐九郎が多感な青年期をすごした20代(大正7年昭和2年)は、現代美術分野の範疇としての「陶芸」という考え方が成立していなかったことである(p54)。

今なにげなく使っている「陶芸」という言葉は、昭和7年ごろに生れた新造語であり、唐九郎もこの用語の設定に参画していた。簡単に説明すると、職人としての陶工という職業はあっても、美術家(芸術家)としての「陶芸家」という概念はなかったのである。これが唐九郎の前に立ちはだかっていたのである(p55、一部省略)。

したがって、

唐九郎の取り組んだ陶芸家にふさわしい自立するためのモチーフは、桃山時代の陶器という「古典」を、現代に「復興」させることであった(p55)。

本論は出典等が不明であるため、この指摘に対する資料=根拠が不在です。この指摘の検証が必要です。

陶芸、陶芸家という言葉を歴史化することは実に重要です。一つはその言葉が生れた時代の変動を示すから。二つはその言葉が、どういう基準で作られたのか、を確認しないことには、「陶芸とは何で、陶芸家とは誰か」という問いに応じられないから。

炎芸術 (No.65) 日本の陶芸100年 2

炎芸術 (No.65) 日本の陶芸100年 2