なぎさ公園

最近、「なぎさ公園」をよく散歩する。「なぎさ公園」は滋賀県大津市の湖岸道路沿いに位置する散歩型の公園だ。JR石山駅を下車して、「なぎさ公園」沿いに出て、大津港旅客ターミナルまでゆっくり歩く。距離は約7キロ。所要時間は2時間。足が疲れる前に、ベンチに腰掛け、本を読む。単にボーっと琵琶湖を眺めることもある。

琵琶湖は大くて、広い。僕はうぅっと背伸びをし、次に肩と両腕を力いっぱいに横へ広げる。つかみきれない琵琶湖をつかむようにして。

太陽光を反射する無数の波。それが際限なく、高速にゆれて、ぶつかり、またゆれてぶつかる。一見するとただの波だが、時々、それが生き物のように見えてくるから不思議だ。

琵琶湖から吹く冷えた風。それが僕を通り抜けていく。僕は風になったような、ならないような。ここにいるのか、いないような。爽快だが、少し寒いような。

ここに来てよかったと思う。少し未来を想像する僕の頭は自分の行動を遮る。面倒くさいから行くな、と。しかし、よかったと思える積み重ねが、その遮りを切り開く。

バス釣りをする人がいて、それを眺める人がいる。散歩する夫婦がいれば、デートを楽しむカップルもいる。スケボーをする若者がいれば、杖をついて歩くおばあさんもいる。僕のように一人で歩く人も結構いるし、女子高生が波打ち際の石に腰掛けて、何かを語りあっていることもある。上手に波乗りするカモがいるかと思えば、公園の雑草をついばむカモもいる。鳩は集団で寒さに首を丸めて、じっと動かないが、僕がポケットに手を入れると、食べ物をくれるのかと勘違いして、数羽が首を出し、寄ってくる。

ここは人目を気にして、歩く必要がない。監視カメラもない。僕が立ち止まっても、そこには琵琶湖があるし、ベンチもある。

歩きながら、休める場所ってなかなかない。