誰かの日常

私は駅のホームに立つ。車掌がアナウンスを流す。黄色い線までお下がりください。

迫りくる電車。ライトが少しずつ大きくなる。身体に響く電車の音。風圧を感じる。車掌は黄色い線を超える者がいないかを確認している。安心した顔。いつもと同じ風景。日常の光景。今日も変わらない日々が続く。

目を閉じる。ふわり。路線に身体を投げる。急ブレーキの音。

女性は長い叫び声をあげ、サラリーマンは吐瀉物をもらし、車掌は絶叫する。周囲は何が起こったのだろうと、いぶかしむ。目に焼きついているのは運転手の驚愕して見開かれた目。盛り上がったほほ。そして、生きろという言葉。

目を開ける。そこに見えるのは過ぎ去る電車。うるさい音。強い風圧。いつもの風景。日常の光景。今日も変わらない日々が続く。

自殺のコスト

自殺のコスト