「陶芸を楽しむグ・ル・メなやきもの」展 in 滋賀県立陶芸の森

滋賀県立陶芸の森が6月30−12月11日まで「陶芸を楽しむ グ・ル・メなやきもの」展を開催している。企画展の趣旨は次の通り。

かつて(グルメ)といえば美食を連想する言葉でしたが、いまや誰もが身近に感じる楽しみになりました。本展では〈グルメ〉をテーマに、陶芸の魅力をお楽しみいただきます。四季の風情を楽しむ日本では、料理を彩るうつわ文化が花開きました。その伝統は近代陶芸の巨匠をはじめ多くの陶芸家に継承され、それぞれが独自のうつわを追及していきます。またその一方、〈グルメ〉は世界中で芸術のテーマとしても表現されてきました。やきものを素材にした造形表現も多様な広がりをみせています。陶と食のおいしい時間をお楽しみください。

企画展は5つに分かれる。1.食の原点・自然の恵みに感謝−パプアニューギニアの形象土器−、2.巨匠たちのうつわ、3.お茶の時間にしましょう、4.陶芸家のうつわでグルメ三昧!、5.不思議なうつわ&やきものグルメ。

本展は楽しい。パプアニューギニアの素焼き?調理器を手で触れることができたり、信楽の飲食店が作家の器で食材の盛り方を提案したり、江戸時代に花開き消滅していった県内の地域窯の食器を一堂に集めたり、ざっと思い浮かぶだけでも熊倉順吉、濱田庄司ルーシー・リー、ハンス・コパー、15代樂吉左衛門など作家たちの作品を提示したり、現代陶芸作家によるクレイワークな器を展開したり。

僕は火曜日の午前、日曜日の午後の2回鑑賞した。企画展自体はよいのに、人がいない。もう決定的にいない。世代うんぬんを問えるレベルではない。

陶芸美術館の入場者数は交通の便にほとんど規定されるのではないか。まずそれがあって、次に企画展の企画力が来るのではないか。火曜日は僕を含めて4組、日曜日の午後にいたっては3組だった。たまたま人が少なかったのだろうか(個人的にはじっくり鑑賞できるから、ありがたかったが)。

そう考えると、各産地に建てられた陶芸美術館が入場者数を稼ぐことは厳しい。各産地は山々に囲まれ、自然環境に規定されている。だから交通の便は悪い。最近では改善されたが、都市部とは比べるべくもない。この状態が続けば、産地の陶芸美術館は今後、徐々に閉館していくだろう。こうした館は作品を保管する場所として機能するだろう。