落ちつく場所

スーツを新調する。いつも接客してくれる人はお休み。代わりの人の接客がひどかった。僕はお客ではなくて、たんなる財布か?腹立つなー

今日は京都で友達と食事会。待ち合わせ時間まであと30分。中途半端な時間。金を支払ってカフェで休むか、このまま散歩か、どうしよう。ちょっと休憩できる場所って、結構少ない。どーにかしろ、このヤロー。

さっきの接客といい、この日差しの強さといい、ベンチのなさといい、今日は一体なんなんだ。
心は荒れて乱れて、足取り重く、右を向いたら東本願寺

僕は烏丸通りをよく散歩するが、東本願寺には1度しか行ったことがない。いいことがあるかもしれないし、苦しいときは仏だのみ。僕は足を止め、門をしげしげと見上げる。デカイ。

僕は視線を戻す。そばにはまるまると太った男の子。彼はハトにエサをあげるつもりだったらしい。それを見た数十羽のハトが一斉に彼に向かって、飛び立つ。バタ!バタ!バタ!驚いた彼は奇声をあげて、ハトから逃げ回っていた。かわいい。彼はメロンソーダとアイスクリームがよく似合う肉団子。たまには運動して汗でもかけ、この野郎といわんばかりに、僕はほくそ笑む。

僕は砂利の広場を突き抜け、巨大な本堂の前で靴をぬぎ、上がる。本堂の手すりに身体を預けて、ボーっと外を眺めている外国人旅行者。なにかを祈るように畳の上であぐらをかくおっちゃん。正座して両手を合わす中年夫婦。

僕は本堂を支える一本の巨大な柱に背中を預ける。目を閉じて、じっとする。密度の濃い、しんとした、厚い静けさ。空気が濃くて、重い。時々、雑音が聞こえるが、それは本堂の空間を通じて、骨抜きになる。身体からにじみ出た汗が乾いていく。僕は自分の呼吸を意識する、ゆっくり吸って、深くはく。お香のにおいがわずかにする。水が綿に浸透していくように、本堂の空気が身体に浸みこんでいく。

妙に落ち着いてきた。乱れた心はどこへいった。なんなんだこれは。いい機会だから、瞑想に入る。こんないい場所があるなんて知らなかった。

そろそろ約束の時間。僕は立ち上がり、友人との待ち合わせ場所に向かった。

この日は1年ぶりとの食事会。僕が仕切った。ビアガーデンで一夫