ナガヤマヨシコ(54歳)

周囲に田んぼもある職安に女が消えていく。20分後、女がそこから出てきたので、僕は取材を申し込むと、女は「難しいこととかわかりませんよ」と答え、話を聞かせてくれた。

(今日、職安に来た理由は?)前の会社を退職しまして、今日、初めて保険の手続きに来たんです。私のいた業界は特殊で、販売とか工事もやってますね。

(なぜ退職を?)前の会社の仕事に「自分の力がついていかないかな」と思いまして。もう年いってますので、今のパソコンを使ったり、そういうなんが主流ですよね、今はね。だんだん高度になっていくと、ついていけない。私らの世代は当然、教育受けてないんです、パソコンとかそういうなの。ですから、ちょっと申し訳ないですけど、退職したんですけど、辞めたくて。辞めてから1か月経ちますね。

(将来に対する心配は?)やっぱり心配ですよ、収入が減るんですから、いろいろ考えてます。いや、もう主人も定年になりますので、私の主人も全然ないので、はい。ローンとかね、そういうなんもありますんで。「もうちょっと頑張れたら、どこかで」という思いで。次の仕事はまあ、「やっぱり週5日ぐらい働くぐらいにしておきたいな」と思いますけれども。年収は100万円もあれば上出来ね、もしあれば、はい。そんなたくさんは別に、年が年ですからそんなたくさんは希望しません。

(世間にいいたいことは?)やっぱり仕事がないことにはどうにもならないですね。ですから、「地元でなんかね、若い人でも仕事があれば、もっとね人口も増えて、いろんな面で変わってくる」と思うんですけど。地元に仕事がないことにはどうしようもないですね。やっぱり人口も減るし、若い人も減ってしまうんで。私らの子どもでも結局、学校出たけれども、就職先はここではないから、大阪へ出てますけれども。そういう人が結構多いんと違います。だから、なんか、ここで一つ仕事があれば変わってくるかもわかりませんね。「よそで働いてもらうよりも、地元で働いてもらったほうがいい」と思いますけど。