雑感

散歩中にハトを見かけた。こいつはのんきそうに草をついばみ、首をクックとまげて、もどして、まげて、草をついばむ。きょろきょろした目はあまりに無個性で、不気味だ。俺は軍手をつけて、ハトを捕まえたら、ハトは能面かぶったハトから、他人事だと思ったハトから、これは自分事なんだと自覚して、これまでにない目をするんだろうか。三角目になったりして。いつかハトを捕まえるのが俺の夢だ。俺は周囲に誰もいないことを確認してから、「プルルップー」とハトの鳴きまねをして、ハトの気を引いたが、ハトは俺を無視して、俺は自分に笑った。昼下がりの春はこういうのが気持ちいいのだ。


新聞や雑誌を見ると、スポーツ選手に敬称がない。引退した選手に敬称がある。これはなぜだろう。いつから始まったのだろう。不思議だ。

学生のころ、経済学を教えていた先生が「コンビニはどうして利用されるのか」いう問いを出して、僕らが黙っていると、先生は「コンビは決まったマニュアルがあるから、マニュアルは人を不快にさせないように作られているから、店員はそれに従えばいいから、コンビニは利用されるんだよ」と答えたとき、僕はなるほどと腑に落ちた。あれから10年も経つが、先生の言ってることは間違ってるんじゃないかというか、間違ってる。マニュアルは完璧だが、店員は機械ではなくて、人間であって、嫌な接客の店員もいれば、よい接客の店員もいる。人は気分の生き物だから、よい接客の人がおかしいときだってある。嫌な接客の店員はもっとおかしくなる。近所にコンビニがあるが、俺は嫌いな店員がいるときは、そこで買い物しない。「先生の言ってること、俺違うと思うな」と言ったら、「お前も自分の頭で考えるようになったなあ、間山」と先生は優しいから、こう言ってくれるだろう。

電書書籍。読み手が特定の言葉を指定すると、その言葉が消える。その言葉がなくても、文意が通じるという意味で、特定の言葉を消す。この機能が本を読みやすくするための機能だ。これが電子書籍にできたら、いいな。俺はもっと本をたくさん読みたい。