『直感を信じて、進め。』

『直感を信じて、進め。』という本をご紹介。著者は原田美砂さん。肩書きは帽子デザイナーです。本書は帽子デザイナーとしての原田さんの自伝です。以下、面白かった3点。

「帽子の着用がマナー」という考え方は60年代に入ってから変っていった。デザインの概念を髪型に持ち込んだヘアアーティストのヴィダル・サスーンが出てきて、ヘアスタイルが劇的に変わったのがこの時代。サスーンカットで知られるモードなスタイルを作り上げたことで、政治的そして社会的に解放されたヘアスタイルが世間を席巻した。一言で言うなら、体制的なものに反抗することがかっこいいとの価値観がイギリス中に広まったのがこの時代。その価値観を支えていた若者の間で、帽子をかぶるのは体制からの押し付けといった考え方が生れて、反体制的な行動のひとつとして帽子もかぶられなくなっていってしまった。現在はおもしろいことに、帽子は人との違いを生み出す、個性を表現するためのアイテムのようになってきている(pp95-96、一部省略)。

帽子はかぶったときのバランス、形が大事なので、型作りは納得いくまでとことん作り直す。私は1ミリ2ミリに執着するので自分が納得するまでにはかなりの時間がかかる(pp113-114)。

帽子を取り入れたファッションをオシャレに楽しんでいただくために私が提案しているのが、全体のファッションのバランスを帽子で小粋に崩しましょう、ということ。たとえばシャツとジーンズというカジュアルな組み合わせ、ドレスというフェミンなスタイルに、あえてカッチリとしたマニッシュなハット系をもってくる。ソフトなものにハードなもの、ハードなものにソフトなもの、マニッシュに対してフェミン、カジュアルに対してフォーマルといったことを意識してみると、全体がぐっと垢抜けてすごくオシャレな感じになる。相対する崩しのアレンジがおもしろいと思う(p134、一部省略)。

本書は原田さんの自伝ですが、帽子デザイナーの仕事の内容をしるための入門書として、自己啓発本として、おしゃれを上手に行うための指南書としても読めるものです。

直感を信じて、進め。

直感を信じて、進め。