カメラを持って京都をほっつき歩いた その3

カメラを持って歩くと、見えない京都が顔を出す。読書も楽しいが、こうやってカメラを持ってウロウロするのも楽しい。楽しみはいろいろ持っていたほうがいい。

僕はこのY字路に自分を投影する。この先どうするのか。こっちに行けば、何があるのか。そっちに行けば、どうなるのか。分かれ道。僕らの世界はY字路と逆Y字路の連続。

確かこのY字路の手前にそば屋があった。京都らしさ(ステレオタイプ)を売りに店先へ並べられた美味しそうな京都の野菜の数々。丸々と太ったこのなすびに目を奪われる。

よく光ってて、本当に美味しそうな茄子。かわいい。漬物またはサクサクの天ぷらにしていただきたい。

先斗町の風景。スウェットを着たにいちゃん(どこかの店の人)とタバコ屋のおばあちゃんが何やら話している。「おばあちゃん、あれもらうで」、「まいど、おおきに。ちょっと取っといておくれやす、待っとくれやす。すぐ行くさかいに」おばあちゃんは別の作業をしていて、レジに向かうのに少し時間がかかっている様子。しゃがれた声。話し方はどちらかといえば、遅い。にいちゃんはイライラしていない。顔見知りみたいだ。昼間の先斗町は時間の流れかたがゆっくりとしている。

京都の鴨川の名物。人と人の一定の間隔。春とか秋の晴れた日にここで過ごすことはとても心地いい。読書をしたり、寝転がったり、ただぼんやりしたり、行きかう人を眺めたり。素敵な場所。