琵琶湖アウトドアフェスタ2011 その4




こんな感じのテントも展示している。このテントはいくつかが連なっているから、奥行がある。看板はなんともいえない味のあるデザイン。このテントの使い方を想像する。仲の良い友達の家族や親戚が集って、使う。子どもの秘密基地として使う。野鳥を観察する、撮影するために使う。大きな家に一人で暮らしている人と同じように、このテントを一人で使うとどうなるのだろう。夢があるテントだ。

運動会なんかでよくみる形のシェード型のテントもこうやって展示。僕はこの簡易チェアに腰かけて、パイプをもくもくふかしながら、少し思案顔で、夕暮れの秋の風に吹かれてみたい。そのとき僕は、「俺アウトドア満喫中やで、映画の一場面やで」とおそらく思うに違いない。それを表情に出すと恥ずかしいから、あくまでも思案顔で、である。僕のことを多少理解している周囲の家族や友達はこういうだろう。「またやってる、あの人あほや」

琵琶湖がこうした状況を具体化してくれる。穏やかな波打ち際。視線を水面のもっと奥に送る。水面はどこまでも、どこまでも続く。どこまでも。


看板のアップ。デザインがかわいい。色とフォントとイラストのラインが見事に調和。一昔前の看板は説教調でダサかったから、こんなかわいい看板を作るなんて、ちょっと驚く。琵琶湖は場所によってひどく汚れているが、概して美しいし、なぎさ公園を見ればわかるように、素晴らしい。僕も願う。明日もきれいな琵琶湖でありますように。
このアウトドアフェスタは僕のように家族を持たない者でさえ、親しい友人や新しい家族と一緒に過ごしている場面を想像させる。あるいは、かつて僕が家族と夏の海ですごした思い出を喚起させたり、自分が映画の一場面を演じているような錯覚に陥らせる。ここは人の無意識のなかにある思い出や願望を表出した場所だ。かくて、人は自分の欲望をキャンプ道具の中に落とし込みながら、経済力のある人は道具の購入を検討し、ない人は自分の頭の中での空想を楽しむ。こうして琵琶湖アウトドアフェスタ2011の取材は幕を閉じた。